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古代の洞窟・チベット少年の不思議な物語18

2018.12.30.21:18

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「ああ、しかしお前は間違っている。同様な部屋がエジプトでも見つかり、そしてもう一つの同じ部屋が南アフリカと呼ばれる地域にも存在している。私は見たことがあって、どこにあるのかも知っている。これらの秘密の部屋は、時期がくれば後世の人々によって、その中の人工のものが発見されるように、古代人によって隠されていたのだ。しかし、この突然の岩石の落下によってチベットの隠された部屋は思いがけなくあらわになり、その内部のものから我々は他の部屋の知識も得たのだ。
しかし日は瞬く間に過ぎ去り、今度はお前を入れた7人が出発して、再び古代洞窟に向かうことになるのだよ。」


(注!驚きです!この本は1956年にロンドンから出版されたものです。その内容が、現在、エジプトとアフリカにあるとされている古代の図書館や宇宙人の基地とか言われているものについて、すでに言及しているわけです。この時代にすでに、チベット人にとっては公開して構わない情報となっていたためでしょう。そして、とうとう、ルーマニアにもあったということで2003年に発見されたというニュースが世界を駆け巡りましたが、米国によって封印されました。)


数日間、私は興奮に上ずっていたが、このことを自分の胸の内に納めていなければならず、他のものたちには薬草を集める旅に山へ向かうということにしてあった。
ラサのような狭いところでも、例えば中国、ロシア、イギリスの代表部の人々や、インドからやってきた商人たちや、教会の関係者たちのように経済的な観点から外を眺める人々がおり、彼らはすでに我々が金や宝石を保管している場所のことを聞き及んでいて、常に何事であれ、自分たちに利益のあることなら開拓するつもりでいたから、我々は旅行の真の意味を完全に秘密にしたのであった。

ラマミンギャールドンタップが話をしてくれてから約2週間後には、我々はほとんど谷と石ころ道を通る、長い長い登山の準備を完了した。
共産主義者は現在チベットにもおり、従って、洞窟は本当に存在し、その機械類を所有することは、共産主義者に世界征服をさせる機械を与えることになるという理由から、古代洞窟の位置は慎重に隠されたのだ。

ここに書いてあることは、洞窟への道以外は、全て真実である。

洞窟の秘密の場所や正確な面積は、時がくれば自由の軍がその場所を発見できるように、注釈と略図を使って完全にしてあるのだ。
我々はゆっくりとチャポクリ僧院からの道を下って、カシャリンカに沿った道を辿り、その公園を過ぎて渡し船にむかって降りていくと。そこには、膨らんだヤクの皮袋の船を岸に横付けした船頭が、我々を待っていた。
我々は私を入れて総勢7人で、キチュ河を渡るには手間取ったが、結局、はるか向こう岸でみんなが一緒になることが出来た。
我々は自分たちの荷である食料やロープ、それに予備のロープ、いくつかの金属の道具類をめいめいの肩に背負い、南西の方角に向かって出発した。
日が沈んで影が長く伸びた石ころだらけの道を辿って、もう疲れて動けなくなるまで歩き続け、それから、押し寄せる暗闇の中で大きな石の風下で寝に着く前に、貧しいツァンパの食事を取ったのである。
その夜、私は自分の貧弱な衣の上に横になるや否や、すぐに熟睡してしまった。
ただしラマ僧たちが定められた様式に従って座ったまま眠ったのに対し、私は横になって眠ったのだが、それでも右側を下に横たわって休むという規定だけは守っていた。
私が眠りにつく直前に見たのは、ラマミンギャールドンタップが暗い夜空に向かって彫像のように座っていた姿であった。

朝の最初の光で我々は目を覚まし、簡単な朝食を済ましてから荷物を担いで行進に移り、その日、一日中歩き続けた。
翌日も同様だったが、そのうちに一つの丘を通り過ぎて目指す山の麓に到着した。
すぐに我々はお互いにロープで体を結び合い、ロープを岩の頂上に結びつけるために、一番身軽なもの、すなわち私を最初に危険な割れ目を乗り越えさせ、これによって体重の重い者たちを安全に運ぶことになった。
かくして我々は前進し、その山をよじ登って、ついに大きな岩盤の足元に立ったときには、もう手足の力が萎えてしまいそうだった。
師は言った。
「この岩盤を越えて向こう側に降りると小さな谷が見えるが、これが洞窟の足下にあたるのだ。」
我々は岩盤の下を行ったり来たりして手をこまねいた。
明らかに長年にわたって他の岩が落ちてきて、小さな出っ張りや凹みをなくしてしまっていたのだ。
ほとんど丸一日を無駄に費やして我々は、両手両足を使って、自分の背中をこの煙突状の岩の反対の面に対して吊るすようにして、登ることを考え出し、希薄な空気に喘ぎながら頂上まで登ってあたりを見渡した。
すると遂に、目の前に例の谷があったではないか。
そこで我々はさらに熱心にはるか向こうの壁を見つめたが、滑らかなその岩の面には、洞窟も亀裂も見つけることが出来ない。
そして我々の下の谷には、大きな落石が散らばり、さらに悪いことには、中央部に沿って山の激流が吐き出されていたのだ。
我々は用心深く谷に降りていき、その激流の岸に向かって進み、遂に大きな落石が、岩から岩へ飛び移る力のあるものだけに不安定な道を与えている場所までやってきた。
一番背の低い私には、飛び越すだけの足の長さがなかった。
そこで不名誉にも、一本のロープの端を持って、氷のような激流の中を歩いて渡ることになったが、実はもう一人の小太りのラマは飛び損なって、彼もまたロープの端を持って歩くことになったのである。

さて、向こう岸に渡ってから我々は濡れた衣を絞って着直したが、その飛沫は我々の皮膚まで濡らしていた。
我々は落石を超えて用心して道を辿り、谷を横切って最後の障害である岩盤に近づいて行った。
師は新しい岩の傷を指差して、
「ごらん、再度の落石が、我々の登った最初の岩棚を打ち壊したのだ。」 と、言った。
我々は自分たちの前にそそり立つものを見ようとして後ろへ下がってたった。
その最初の岩棚は地上4メートル近くはあったが、他の道はなかったのである。
一番背が高く、力の強いラマが岩の面に向かって腕を伸ばし、それを抱くようにして立ち、ラマの中の一番軽いものが彼の肩に登って同様に岩を抱くようにし、そして最後に、私が上に乗った人の肩に登り、腰にロープを巻きつけて自分自身を岩棚の上で自由にした。

私の下から僧侶たちが呼んでいたが、私は驚きでほとんど死にかかったかのように、ゆっくりと高みまで登って、遂に突き出た岩の尖頭の周りにロープを巻きつけることが出来た。
それから私は何度も岩棚の横にうずくまり、その間に6人のラマがロープを伝って登ってきては、私の横を通って上方へ向かい、最後尾の者が彼の腰に巻きつけたロープをほどき、他の者の後に従った。
直後にロープの端が私の前にぶら下がってきて、私を引き上げるために、身体にロープを巻きつけるようにという叫び声が聞こえた。
私の背の高さは、助けなしに全ての岩棚に登るには十分ではなかったのである。

私は再びずっと高い場所まで行っては休み、それからロープが上方に引き上げてくれ、そして最後に、みんなが待っている最高点の岩棚に到着した。
親切で思いやりのあるみんなは、洞窟に一緒に入ろうとして待っていてくれたのだった。
私は彼らの慈悲深さに心暖まる思いがした。
「さて、マスコットを連れて前進しよう。」と、一人が大声を出した。
「そうしよう、だけど、一番小さいものが最初にいかなければ、あなた方はここに来れなかったのですよ。」と、私は答えた。
みんなは笑って、隠されている割れ目に向かった。

そのとき最初私は入り口を見つけることが出来ず、ただ干上がった水の流路と小さな苔のシミしか見えなかったが、我々が岩盤を超えると、岩の表面に本当の割れ目があることが分かってきた。
大きなラマが私を肩車して、岩の割れ目に押し込んで陽気に言った。
「お前が最初に入って、岩の悪魔を追い払って我々を守ってくれ。」
そこで一番小さくて最も下っ端の私が、古代洞窟に最初に入ることになった。
私は中に潜り込み、岩の角を這い回ったが、後ろでは大きな男たちの道を探る摺り足と、引っ掻き回す音が聞こえていた。
そしてそのとき、突然光が私の顔を照らしたので、私は一瞬驚き慌ててしまった。
その内部の不思議な世界が見え、岩影で立ちすくんだ。

その洞窟は、ラサの大伽藍の内陣の約2倍の大きさに見えた。
常にバターランプが空しく散らそうとする暗闇の中に収まっている、あのような大寺院とは違い、ここには雲ひとつない満月の夜よりも明るい光があったのだ。
いや、それ以上かもしれなかった。
とにかくその光の質は、月光の感じがしたのである。
私は光を発している球を見上げた。
ラマたちも私の横に集まり、同じように最初は光源ばかり見つめていた。
師は言った。
「古い記録には、この光は独特のもので非常に明るく、ランプは数百世紀に渡り燃え続けていると書いてある。」

長い間我々は、あたかも無限の時間眠っていた人々を目覚めさせることを恐れるかのように、黙って静かに佇んでいた。
それから一斉に衝動的に動き始め、堅い石の床を踏みながら、我々の前に立っている休眠状態の機械の一つに向かって歩いて行った。
我々はその周りに集まって、これはなんだろうと好奇心に駆られて、こわごわ触ってみると、それは老朽化していたものの、もし我々がそれが何に使うものであり、どうして動かすか知っていたならば、即座に動くだろうと思われた。
さらにその他の機械も我々の注意を引いたものの、ただそれだけで、これらの機械は全て我々にとって進みすぎたものだった。
私は床にガードレールの設置してある約1メートルの幅を持った小さなプラットフォームを歩き回った。
長い折りたたんだ金属管のようなものが近くの機械から伸びており、プラットフォームはその管に接続されていた。
退屈して私はその金属管のようなものの方に歩み寄ってなんだろうと訝しんだが、次の瞬間、私は危うくショックで死ぬところだった。
プラットフォームが少し震えたかと思うと、空中高く持ち上がったのである。
私は驚いて絶望的にレールにしがみついた。

下では6人のラマが仰天して上の方を見つめていた。
するとその金属管は開いて、光源の一つに向かってまっすぐにプラットフォームを持ち上げた。
絶望した私は自分の周りを眺めたが、もはや私は、10メートル高く上昇していたのである。
私の恐怖は、光源が私をバターランプの炎の中の蛾のように焼いて、ポテトチップにしてしまうことであった。
ところがそのときカチッと音がして、プラットフォームが止まってしまったではないか。
そして私の鼻先10センチほどのところで、明かりが光っていた。
恐る恐る私は手を差し伸べたが、球は氷のように冷たかった。

やっとわずかに落ち着きを取り戻した私は周囲を眺めていると、その時一つの冷静な考えが心に浮かんだ。
どのようにして降りようか、私は次から次へ飛んで脱出を試みたが、なんの甲斐もなかった。
またその長い金属管につかまって降りようともしたが、もう一度振動が起きて、プラットフォームは下降し始めたのである。
地面に着くまで待ちきれなかった私は飛び降りたが、機械が再度上昇する気づかいはもはや無かった。

はるかかなたの壁のところに大きな彫像がうずくまっており、それは私の気持ちを震え上がらせるようなものであった。
それは、うずくまっている猫の身体の上に、女性の頭と肩を持っていたのだ。
その目は生きているように見え、その顔は半ば嘲るような、半ば訝るような表情で、私を驚かせた。
一方、ラマの一人は、床にひざまづいて熱心にある奇妙な印を見つめていた。
「ごらん、この絵は人々と猫たちが話し合っているところを表している。明らかに魂が肉体を離れて、下の世界にさまよう姿を示しているのだ」と、彼は言った。

彼は科学的な興味から床の上の絵に興奮していた。
彼はそれを象形文字と呼び、他の者たちが同様に興奮することを期待した。
このラマは非常に勉強した人で、古代の言葉をなんの苦もなく学び取った。
また他の僧たちは、奇妙な機械をそれぞれつつきまわしては、何に使うのかを調べていたが、そのとき突然の叫び声が、我々にある警戒心を起こさせた。
その背の高いラマは、向こうの壁のところにいたが、彼は顔を丸い金属の箱のなかに突っ込んだように見えた。
彼は顔を隠しながら頭を垂れてそこに立っていた。
二人の僧が彼のところに駆け寄って、その危険な場所から彼を引きずり出すと、彼は怒りの言葉を履いて、慌てて後ろに下がった。
「奇妙だ。沈着な学識あるラマたちまでも、この場で狂おうとしている。」と、私は考えた。
それから背の高い痩せた僧はその場所を譲り、他のものが彼の場所を取った。
私の見た限りでは、彼らはその箱の中の機械の動きを眺めていたのである。
最後に、師は私を哀れに思って、私を見えるところまで持ち上げてくれたが、そのとき私は、教えられた通り、ハンドルの上に両手をおいて、箱の中と人々と部屋にある機械の全てを眺めた。
みんなはハンドルを操作していたのだ。
私は、自分を光源まで持ち上げたプラットフォームが、コントロールされ、一種の可動ハシゴ、あるいはむしろハシゴを不要にする機械であった事を知った。

そしてここにある機械の大部分が、後年、世界中の科学博物館で見られることになろうと思われ、我々はその実際の稼動状態にあるモデルを見ていたのだ。
我々はラマミンギャールドンタップが以前に話してくれたパネルの方に移動したが、近づくにつれてパネルは、我々が驚いて飛び上がるほど、大きなきしみ音を立てて開いた。
その内部は暗くて深く、我々の周囲を真っ黒の雲が取り囲んでいるかのように思われた。
我々は床の浅い溝によって導かれた。
みんなは足をひきづって歩き、溝の終わりで座り込んだが、そのうちにまた、金属と金属の摩擦のような一連のきしみ音がやってきて、かすかな光が暗闇を通って忍び寄って暗さを追い払った。
我々は周囲を見回し、ここにはさらに多くの奇妙な機械類と彫像や金属に彫った絵があるのを発見した。
そのうちに時間が経つと、光が入ってきて、部屋の真ん中に光源が現れ、各種の色が何気無く煌き、光の層は何もしないのに光源の周りに渦を巻いた。
形作られた絵は、最初はぼうっとして見定めがつきにくかったが、次第に生き生きとして3次元的になってきて、我々は熱心に見つめたのであった。

これはずっと以前の世界であった。
世界が未だ若かったときだった。
山々は現在海になっているところに聳え、楽しい海浜のリゾート地が今や山頂になっているところにあり、気候はより穏やかで奇妙な動物たちがうろついていた。
そしてこれは、科学的進歩の世界でもあった。
不思議な機械が回転し、床の表面から数センチのところから飛び出して、数キロメートルの高さまで舞い上がった。
大寺院の尖塔があたかも雲に挑戦するかのように空の方向を示し、動物たちと人間はテレパシーで話し合った。

しかし、すべてのものが幸せではなかった。
政治家たちはお互いに戦い、世界は分裂した集団となって、互いの領土を欲しがった。
疑いと恐怖が人々の頭上に雲のように広がり、両陣営の僧侶たちは、自分たちだけが神の恩寵を受けていると宣伝しあった。
絵の中に我々は、自分たちの救済の印について怒鳴りあっている僧侶たちの姿を目にしたのだ。
何たることか!
各陣営の僧侶たちは敵を殺すことが神聖な義務だと考え、その同じ口で彼らは世界中の人々は兄弟であると説いているのだ。
兄弟が兄弟を殺すことの非合理性は、彼らにとってないも同然だった。

次には大戦争が戦われたのを見たが、死傷者の大部分が市民であった。
甲冑をつけた武装集団は大体安全であったが、老人や女性や子供達のような戦わなかった人々に災難は降りかかった。
人々は研究所で働いて死の兵器を作り上げる一方、敵の上に落とす大きく効力のある昆虫を作り出す科学者たちを見たのである。
またある一連の絵は。彼らがタイムカプセルと呼び、我々は古代洞窟と呼んでいるものを計画した思慮深いグループのことを描いていたが、そこに彼らは後世の人々のために、彼らの機械の作業模型と完全な彼らの文化とその欠陥を記録したものを挿入したのである。
巨大な機械が岩をくり抜き、人々の群れがその模型と機械を据え付けていた。
我々はその場所に掲げられ、数百万年の間光を投射し続けた不活性の放射性物質である光源を見た。
不活性であるがゆえにそれは人間に害がなく、また放射性であるがゆえに、限りなく光は続くのである。

我々は自分たちが彼らの言葉を理解できることに気がついたが、そのとき、我々はテレパシーで話を受けていたのだ、という説明が現れた。
このような部屋、すなわちタイムカプセルは、エジプトの砂の下や南アフリカのピラミッドの下、そしてシベリアのある地点に隠されており、その各々の場所には、その時代のシンボル、例えばスフィンクスなどによって印がつけられていた。
我々はエジプトに起源を持たない巨大なスフィンクスの像を見、その姿の説明を受けた。
人間と動物は遥か昔には、一緒に話し合って仕事をしていたのだ。
猫はその最も完全な動物で、力と知恵を持っていた。
人間自身も一種の動物で、古代人は大きな猫の身体の像を力と忍耐を示すために作り上げ、その身体の上に一人の女性の胸と頭を乗せた。
頭は人間の知性を示し、胸は人間と動物が、お互いのために霊的、精神的な養分を取り合うことを示し、このシンボルは今日の仏像やダビデの星や十字架と同様に普遍的なものであった。

我々は陸地から陸地へ移動する巨大な浮遊都市のある海を見、また空には音も立てずに動いている同様に巨大な船が浮かんでいたが、これらは一点に止まっていると見るや、ほとんど一瞬のうちに、とんでもない高速で通り過ぎて行った。
地上では乗り物が地面の数センチ上を、我々が考え及ばない方法で空気に支えられて動いていた。

道路が橋のような細い索を伴って都市を貫いて伸びていたが、我々が見ている間に、空に生き生きとした閃光が走り、最大の橋が壊れてひとかたまりの桁と索になってしまった。
そしてもう一度、閃光が閃いて都市の大部分が消え失せて、光り輝くガスとなってしまい、廃墟の上には数キロメートルの高さのキノコ上の奇妙な悪魔のような赤い雲が立ち昇っていた。

絵は次第にあせて行き、そして我々は再びタイムカプセルを企画した人々の一団を見たが、彼らは今や、それらを閉じ込めるときと考えていた。
我々は儀式を見、また保存される記録が機械にかけられるのを見、そして別れの演説を聞いたが、それは我々に向かって言った。
「もしそれが存在するなら、未来の人々へ。人類は自ら滅びる可能性があるという意味で、この丸天井の中には、それを発見し理解できるだけの知性を持った未来の民族への恩恵となる、我々の完成と愚行の作品を保存する。」

テレパシーの声は消え失せ、絵のスクリーンは黒くなった。
我々は黙って座り、呆然としていたが、しばらく時が立つと、未だ座ったままだった我々の周囲が再び明るくなってきて、我々は光が部屋の壁から出ていることに、やっと気がついた。
我々は立ち上がって辺りを見回した。
このホールもまた機械類が、ここかしこに散らばって置いてあった。
都市や桟橋の模型も多かったが、その材質はわからなかったものの、いずれも、ある種の石や金属で作られていた。
展示品の中には、完全に透明な一種の物質によって守られているものもあった。
それはガラスでもなく、その材質が分からなかった。
ただ我々に分かった唯一のことは、これがその模型を触らせないように効果的に守っているということだけであった。

突然、我々全員が飛び上がった。
悪意のある真っ赤な目が我々を見つめていたのだ。
私は逃げ出そうと身構えたが、その時、わが師は赤い眼を持つ機械に向かって大股で進み出て、機械を見下ろしながらハンドルを握った。
すると赤い目は消滅して、その代わりに小さなスクリーン上に、メインホールに繋がっているもう一つのメッセージが浮かんだ。
「出てゆく時、その部屋に行け。お前たちが入ってきた出入り口を閉じるものが見つかるはずだ。もし、お前たちが我々の機械を操作できるほど進化していないならば、この場所を閉じて、のちにやってくる人々のために、手をつけないでいてもらいたい。」

黙ったまま我々は第3の部屋に向かった。
部屋のドアは我々が近ずくと自然に開き、ここはたくさんの注意深く密封した缶類と、その缶をいかにして開くか、また洞窟の出入り口をいかにして閉じるかを図解した機械があった。
我々は床の上に座って、今見たり経験したりしたことについて議論しあった。
「素晴らしい、素晴らしい。」と、一人のラマが言ったので、私は、
「これは素晴らしいものだけど、それでも我々はアカシックレコードを見れば、全てを見ることができるじゃないですか。なぜ我々はこのような時の移り変わりの絵を見て、この場所が閉じられた後で何が起きたかを知る必要があるのですか。」と、早口で言った。
他の者たちは不思議そうに、一行の年長者であるラマミンギャールドンタップを振り返った。

彼は軽く頷いて言った。
「時には、我がロブサンが知性の閃きを示すことがあるな。我々は自分自身を見つめ直し、何が起こったのかを見直してみる必要があるようだ。実は私もみんなと同様に不思議な気持ちだからだ。」
我々は車座になって座って顔を見合わせ、指を適当に組み合わせた。
すると師は呼吸を整え、我々みんなは彼のリードに従った。
徐々に我々は地球上での感覚をなくして行き、時代の海の中に浮かんでいる状態になった。
過去に起きたことの全てが、意識的に幽界に行って知識を得て帰ってくる才能を持った人々によって見られたのだ。
歴史上のいかなる光景も、そしてそれがいかに遠い昔の出来事であったとしても、あたかもその場に居合わせたかのように見ることができた。

ところで私は、初めてアカシックレコードを経験した時にことを思い出す。
師が私にそのような事項について話そうとした時、私は答えて言ったのである。
「そうですね、だけどそういうことがあり得ましょうか。それはどんな仕組みになっているのですか。人が過去に起こったこと、すなわち、もう終わってしまった出来事に、いかにして触れられましょうか。」
「ロブサン、お前は自分が記憶を持っていることは容易に理解できるだろう。お前は昨日や一昨日や、その前の日に起きたことは思い出せるはずだ。そこで少し訓練すれば、お前の生涯に起きたチャクポリでの出来事を思い出すこともできるのだよ。訓練によっては、生まれた時のことまで思い出せるのだ。お前は我々が全記憶と呼ぶものを持つことができ、そしてお前の生前の記憶まで遡れるようになる。アカシックレコードは単に全世界の記録に過ぎず、この地球に起きた全ては、お前が自分の生活の過去の事件を記憶することができるのと同じ方法で、思い出されるのだ。そこに何ら魔法のようなものはない。だが我々は後で、これとまた非常に近いものである催眠術についても議論したいと思う。」

我々の訓練を持ってすれば、機械がその絵を消失してしまった時点を選ぶことは、誠に容易であった。
我々は疑いもなく、当時では目立った男女の洞窟から出て行く姿を眺めた。
巨大な腕を持つ機械が、出入り口の上に山の半分はあるかと思えるものを滑らせた後、表面にできた亀裂は注意深く封印され、人々の一団と作業員たちは出て行った。
一方機械類は、はるかかなたに動いて光景は静まった。
次に我々は、巨大なピラミッドの石段に立っている高僧が、聴衆を戦争に駆り立てているのを見た。
回転する時間の巻物に印象付けられている絵はさらに変化して、我々は反対側の陣営を見た。
指導者ががなりたて、取り留めのないことをいい、そして時代は流れて行った。

我々は空の青さの中に数条の白い湯気が立ち、それから空が赤くなるのを見た。
全世界は振動し、見ているうちにめまいを感じた。
夜の闇が世界中に垂れ込め、激しい炎によって立ち昇った黒雲は、全地球の周りに渦巻き、都市は焼き尽くされて消滅してしまった。
陸上には怒り狂った海からの津波が押し寄せてきて、その前にあるすべてのものを一掃し、その高さは地上の最高の建物よりも高く、その頂上は亡くなった市民の漂流物を持ち上げた。
土地は振動して苦悶におののき、大きな割れ目が巨人の胃袋の収縮のように現れては閉じた。
山は嵐の中の柳の小枝のように波打ちながら海底に沈み、陸地の固まりが水の中から立ち上がって山となり、世界の全表面は変化と連続的な運動の状態になって行った。

数百万人の中でわずかに方々に生き残っていた人々は、悲鳴をあげながら新たに隆起した山に向かって逃げて行った。
また他の生き残りの人々は船で漂流していたが、高地に到着するや、発見できた隠れ家に逃げ込んだ。
一方、その時地球自身は回転を停止して静かに立っていたが、それから次第に逆方向に回転し始め、森は一瞬にして木々の生えた状態から散らばつた灰に変わった。
地球の表面は荒れ果てて真っ黒焦げになってしまい、洞窟や死火山の溶岩のトンネルの中には、ごくわずかの人々が大災害で気が狂ったように恐怖に縮こまってわけのわからないことを喋り、黒い空からは生命を維持する甘くて白い物質が降っていた。

数世紀経つうちに地球は再び変貌した。
今度は海が陸地に、今まで陸地だったところが海になった。
また低く横たわっていた平原が亀裂した岩山になり、水が押し寄せてきて現在の地中海となった。
その近くのもう一つの海は、一つの隙間から海底に沈み、水が去って底が乾くとサハラ砂漠が形作られた。
地球の表面には野蛮な民族が彷徨し、キャンプファイヤーの影で、昔の伝説や、洪水やレムリアやアトランチスの話をしていたが、彼らの話の中には、太陽が停止した日のことも含まれていた。

古代洞窟は半ば沈みかかった世界の裂け目に埋められ、侵入者から守られて陸地の表面から非常に深いところに埋められた。
そして時が経つに連れて急流がその割れ目や破片を洗い流し、もう一度岩を日の光の中に直立させ、ついには太陽によって熱せられ、急激な水のシャワーによって冷やされて、岩の表面が轟音とともに弾けて、我々が入ることができるようになったのである。

我々は勇気を出して痙攣した手足を伸ばし、やっと立ち上がった。
この経験は衝撃的なものであったが、今や我々は食事をとり、眠らねばならなかった。
明日、我々はめいめい周りを見て、さらに少しでも何かを学びたいと思っていた。
そして、それが済めば、我々は指示通り出入り口を塞ぐのだ。
洞窟は改めて善意の高い知識人が来るまで、再び平和に眠るだろう。
私は洞窟の出入り口に向かって歩き始めた。
そしてもし古代の人が墓から出てきて、私の傍に立つことができるならば、その人は何を考えるだろうかと思った。
私はこの時、そのコントラストに驚いたが、それは一人のラマが火打ち石と火口で火をつけ、我々が持ってきたヤクの糞を燃やしていた。
そして我々現代人は、自分たちが会得できないこのような機械類に取り囲まれて、糞を燃やした火の上でお湯を沸かしていたのだ。
私はため息をついて、自分の考えを茶とツァンパを混ぜることに転換させた。


続く→


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