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「アナスタシア・響き渡るシベリア杉」17

2019.04.09.10:00

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蜂はむやみに人を刺さない

「どの庭にも、少なくとも1家族のミツバチが必要。」
アナスタシアのこの言葉に驚き、蜂を扱えるのはごく限られた人だけだと私は言った。
蜂を扱うには特別な学校に行って勉強しないといけないし、それでも難しい場合もあると。
だが、彼女は言った。
「蜂の巣を守ろうとしてあなたたちがやっていることが、かえって蜂たちの生活を邪魔している。
実際、蜂のユニークな生態をほんの少しでも理解した人は、過去数千年の間、この地球上にたった二人しかいない。」
「誰だい?それは。」
「二人の修道士。彼らは聖人に叙せられた。修道院の倉庫に保管されている書物に、二人について書いてある。」
「え?君は教会にある資料を読んだというのかい?いつ、どこで?ここには本など1冊もないが。」
「情報を得るのに、私はもっと完璧な方法を使う。」
「一体、どんな方法?また訳のわからないことを言い始めたね。魔法科なんか知らないが、もう、そういう話はしないって約束したろう?」
「いずれしっかり話すわ。あなたが理解できるように。今は理解できないと思うけど、でも実はすごくシンプルで自然なことよ。」
「わかった、いいとしよう。それで?ミツバチをどんな風に庭で飼えばいい?」
「蜂の巣を作るだけ。自然の中で見かける蜂の巣に似た形のものを。ただそれだけ。あとはただ、蜜やミツロウなど、、蜜蜂が生み出す有益なものを採取するだけ。」
「アナスタシア、それは全然シンプルな話なんかじゃない。だいたい誰が蜂の巣の構造を正確に知っているっていうんだい?君がつくり方を教えてくれるなら話は別だけれど。素材は我々の手持ちのものでね。」
「わかった。」と、アナスタシアは笑い、「じゃあ、ちょっと待って。あなたが言った現代の人々が持っている素材がなんなのか、イメージしてみる。」
「それと、庭の景観を損ねないよう、その巣をどこに置けばいいのかも教えて欲しい。」と、私は付け加えた。
「わかった。それも思い浮かべてみる。」
彼女は、我々の生活の状況を型どるときにいつもするように、草の上に横になった。
私は今までになく、彼女をよく観察した。
彼女は仰向けになり、両腕をまっすぐ横に伸ばし、両手のひらを空に向けた。
指は軽く曲げ、4本の指先の柔らかな内側が上を向いている。
まず、指がかすかに動き、そしてピタリと止まった。
目を閉じ、身体はゆったりとして、みるからにリラックスしている。
初めは表情も緩やかだったが、そのあと、かすかな感情の動きが影のように彼女の顔を横切ったかのように見えた。
後になってアナスタシアは、彼女が教わった、遠くにいるだれかをイメージの中で見る特別な方法について、説明してくれた。
だがこの時は、蜂の巣について次のように語った。
「巣箱を作るの。くぼみのある丸太を使って、そのくぼみを大きくするか、あるいは落葉樹の板で箱を作ることもできる。この場合、板は少なくとも6センチの厚みがあって、箱の容積は高さ40センチに横幅40センチ、縦の長さが120センチ以上必要。過度に丸みをつけるために、板の接合部の内側に小さな3角形のラスを貼る。ラスは軽く貼り付けるだけでいい。蜂が後から自分たちでしっかり固定するから。
箱の背にあたる部分は同じ厚さの板で完全に閉じて、反対側を羽目板で開けられるようにする。羽目板は草か布で包んでから、少し曲げながら取り付けるといい。同時に板の底の部分は全て布で覆っておく。それから板をはめる方の継ぎ目に沿って、約1、5センチの深さの溝を掘る。この溝は反対側の板の接合部から30センチのところでストップする。出来上がった巣箱は庭のくいなどの上におくといい。巣箱は地面から少なくとも20センチから25センチは離したところにおかないといけない。溝のある方を南に向けて。でも本当は家のすぐ下に巣箱を取り付けるのが一番いい。そうすると蜂が飛び出すのを人が邪魔しないし、蜂も人を煩わせることがないから。巣箱は地面に対して20度から30度の傾きで置いてね。開いているところが下に来るように。それから巣箱は屋根裏においてもいいけれど、風通しに気をつけて。巣箱の置き場所として最適なのは、南側に面した屋根の上か、あるいはその屋根の軒下よ。蜜でいっぱいになった蜂の巣を取り外せるように、巣箱までのアクセスを確保しておけばいいだけ。日よけを傘のように巣箱の上にかかるようにして、台に固定しておく。冬にはそれが寒さから守ってくれる。」

私はこう言った巣箱は相当の重さだろうし、傘やら台やらが家の外観を損なうのではないかと指摘した。
「どうすればいいのかね?」と私が言うと、アナスタシアは少し驚いた様子で、私を見ながら答えた。
「問題は、あなた方の世界の養蜂家たちのやり方が正しいわけではないと言うこと。祖父がよく言っていた。現代の養蜂家たちはあらゆる種類の蜜蜂用の巣箱を開発したけど、その全てが人間の蜂の巣への絶え間ない介入を想定して作られているって。彼らは蜂の巣の枠を交換したり、冬には巣箱ごと蜂を別の場所に引きずって行くけれど、これは絶対にやってはいけないことだと言っていた。ミツバチは自分たちの巣を、共同体ごとに、厳密に決められた距離をとって互いに作っている。通気性を保ったり、敵と戦ったりするための共同体の全システムを自分たちで構築している。だからほんの少しでも彼らに干渉することは、このシステムにダメージを与えることになる。彼らは人間に破壊されたものの修復に気を取られてしまい、蜜を集めたり子供を育てたりする本来やるべきことができなくなる。自然の中でミツバチは、木のくぼみに住んで、自分たちの問題は全てうまく処理している。
私はいま、可能な限り、自然に近い形で飼う方法をあなたに伝えた。蜜蜂がもたらす恩恵は絶大で、他のどんな生き物よりも格段に高い正確さで効果的に受粉して、植物の産出量を増大させる。
これはあなた方の世界でもよく知られていること。あなた方が知らないのは、何よりも、蜜蜂がその口器を使って植物の導管を開き、惑星から届いた補足的な情報をその植物に送り込むと言うこと。その植物が必要としている、つまり人間が必要としている情報をしっかり伝える。」
「だけど、蜂は人を刺す。蜂に刺される恐怖を抱えながらダーチャに暮らすのはどんなもんかね。気の休まるときがないね。」
「蜂が刺すのは人が攻撃的に振る舞ったり、手をふって追い払ったり、怖がったりしたとき、あるいは、必ずしも蜂にではなくても、誰かに攻撃的な思いを抱いているときだけ。彼らは敏感にそうした思いを感じ取るし、暗い思いから放出されるものは許容できない。さらに彼らには、人体内の病を持つ器官につながる先端部分や、器官を保護する細胞膜が破れてダメージを受けている部分を、狙い撃ちして刺す能力もある。あなた方が神経根炎と呼んでいる病気を、蜜蜂がどれほそ効果的に治すかは知っているでしょう?これは彼らが治せる病気の一例に過ぎない。
もし私がこれからその全てを話し、あなたにわかるように説明しようとすれば、何週間も一緒に過ごさないといけなくなる。あなたはこれまでも蜜蜂については多くを読んだり、聞いたりしてきた。
私はそれらの情報のいくつかを訂正したけれど、その部分が本質的なことだと信じて欲しい。巣箱の中に蜜蜂のコロニーを形成させるのは、とてもシンプルよ。蜜蜂の1群をそこに放すだけ。
ただその前に蜜蝋を少しと養蜜植物を入れておいてね。木枠や蜂の巣状のものを手作りで準備する必要はないの。近所の少なくとも、2〜3箇所の庭に蜜蜂が住んでいれば、勝手に増えて、群をなして巣箱をいっぱいにするから。」
「だけどどうやっって、そこから蜜を取り出すんだい?」
「巣箱の開口部のカバーを開けて、ぶら下がっている蜂の巣を取り出し、蜜と花粉を採取する。欲張ってはダメ。冬に備えて蜜蜂のために少し残しておいて。それから、最初の一年は、蜜は取らないほうがいい。」

続く→



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